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魔女の一撃

暖かなゴールデンウィークが終わり、再び肌寒い朝晩を迎えることになった連休明けのことです。
新庄に週2回の新幹線通勤をしている私は、朝7時46分に新庄駅に降り立ちました。書類や消毒液などの重い荷物を両手にぶら下げて、診療室までのおよそ5分の道のりをスタスタと歩いて行きます。駅前交差点を右折すると向かい風になりました。駅前電光掲示板が示すこの日の外気温は8℃。ちょっと寒いかな・・・って思ったとたん鼻がムズムズして「ックション!ックション!ックション!」と、くしゃみ3連発。あれ?なんか変・・・と思う間もなく4発目の「ハッくしょん!」と大きなくしゃみが出た瞬間、ヘタヘタ~と力が抜けるようにその場にしゃがみ込んでしまいました。「ムムム、これってギックリ腰?」「アリャリャ歩道の真ん中で恥しい!」それでも「いやオレは歩けるはずだ」と心を奮い立たせて一歩踏み出すと、左の腰にグサッと槍で刺された激痛が!(汗)。もちろん槍に刺された事など無いし、槍を見たことさえも無いのですが。きっと魔女が箒に跨って手にした槍でエイッと刺しに来たに違いありません。とは言え、うずくまっているのも恥ずかしいので一歩一歩魔女と闘いながらも、目に涙を浮かべ、歯を喰いしばって、診療室までなんとか辿り着きました。
この日は、すぐに鎮痛剤を服用し、腰に湿布して、腰痛ベルトをギッチリ締めて、そろりそろり歩きで、なんとか乗り切りました。それから1週間は、腰を屈 めたりする動作の度に、ニヤリと笑う魔女が目に浮かぶ、なんとも悩ましい日々でした。

歯学博士  沼澤 孝典