20年くらい前に、大学時代のM先輩が、千葉県市川市に歯科医院を開業した頃の話です。
開業数ヶ月後、東京で所用を終えた私は、ふと市川まで足を延ばしてみたのです。もちろん連絡もせずに。開業したての歯科医院受付は、急患にどんな対応をするのか・・・なんて興味津々で、市川駅ビルで「ヒロタのシュークリーム」を手土産に購入して、いざM歯科医院へ!
「こんにちは~!」受付の爽やかな笑顔。うん、ヨシヨシ。「歯が痛いんですけど・・・」。「治療中の患者さんがいらっしゃいますので少々お待ちいただきますけどよろしいですか?」。(なかなか良い対応、ヨシヨシ)。「ではこの予診票に必要事項をご記入ください」。そして暫く待合室を隅々まで観察していたところ、奥の方からバタバタバタとリズム感の無い足音ともにM先輩が現れ、「コラお前何やってんだ!」と首根っこを掴まれて医局に連行されたのです。お土産は忘れずに持って。
まぁ、そんなことを3~4年に一度、「親友から紹介されて」「祖母が大変お世話になったので感謝を込めて」「HPを覧て遠方から来た人」など手を変え品を変え、懲りずに市川まで足を運んで様ざまな患者さんを演じておりました。(過去の話です)
つい先日、午前の診療中に受付のユーコさんが「待合室に変な方が座ってます!」と耳元で報告。「『千葉の美味しい梨を院長先生に食わせようと思って持ってきたンだ』と言って大きな箱を抱えてるんです」。ん?どこかで聞いたような・・・。わざわざ山形まで来ないよね・・・。まさか・・・。でも待合室には、梨の絵
が描かれた段ボール箱を抱えたM先輩が、絵に描いたようにちょこんと座っているではありませんか。「恩返しに来たんだよ」だって。忙しい時なのに笑っちゃいますよね。マイッタ。それは恩返しではなく仕返しでしょうが!
スキーモーグルチームのデンタルサポートで、山形での夏合宿に同行して来たんですって。
あ~ビックリしたなぁ、もう。
歯学博士 沼澤 孝典