NHKの「世界ふれあい街歩き」という番組をご存知でしょうか。世界中のどこかの街を朝から晩までカメラを持って歩き廻るというもので、現在のお散歩番組の草分け的存在であります。これを観ると自分もその街を散歩した気分になり、行ったこともない異国の地に想いを馳せることができるのです。今年のステイホーム期間には、以前に撮り溜めしたこの番組をぼんやり眺めていることが多かったような気がします。
ウチには「シェットランドシープドック(シェルティ)」という犬がいます。ペットを飼っている家ではどこもそうだと思いますが、末娘の「世話は全部自分でやるから犬飼ってぇ～」というオレオレ詐欺でも使わないような常套手段に騙され、妻はエサ係、私は散歩係を10年やっております。シェルティはシープドック(牧羊犬)と言うだけあって、とても行動的なため散歩が大好きです。散歩係の私は、日の出とともに目を覚まし早朝の散歩に連れ出すわけですが、いつもは車で通過している道でも、歩くとまた違った風景にお目にかかれます。ゆっくりの散歩だから、じっくり見ることが出来るのでしょう。「この家でっかいなぁ」とか「ここのお庭は素敵だなぁ」なんて、かなり覗き見しちゃったりして、散歩なんかはそっちのけになり、犬をカモフラージュにした街中探検隊になってしまっていることもしばしば。頭の中では常に「世界ふれあい街歩き」のBGMが流れ、一人ナレーションをしちゃったりしているので、これまた楽しいのです。
ウチの犬は薄情なもので、私が散歩係を10年続けていても久しぶりに帰ってきた末娘にはしっぽを3倍振って翔んで行きます。それはそれでちょっと悲しいのですが、末娘の今年の帰省は叶わないだろうから、残念ですがしっぽフリフリ姿は見られないでしょう･･･。なので、私は散歩係に専念することにします。
歯学博士 沼澤 孝典