Blog

歯無しの噺

こう見えても私は、落語が好きなんです。
といっても私がどう見えているのかはわからないのですが、東京出張の際にちょっと時間が出来た時などは、寄席をのぞいたりもします。
山形は落語好きが多いのでしょうか、山辺町に「山辺どんぶり亭」という落語の愛好会があるので、山形近隣で落語会や落語独演会が頻繁に行われています。幸せなことに、東京では入手困難でプラチナチケットと言われる“立川志の輔独演会”も、山形では簡単に手に入ってしまいます。ラッキーとしか言いようがないのです。
さてさて以前からテレビを観ていて、とても気になることがあります。それは職業柄なのでしょうか、噺家さんの中に、ご高齢で喋りづらそうにしている場面を時々見かけます。それはたぶん、入れ歯を使用しているために口蓋(歯の裏の上あごの部分)を覆われて発語しづらくなっているのだと想像するのですが、とても気になり噺が頭に入ってきません。私は、先代の円楽さんのファンだったので、喋りにくそうに噺をする姿がなおさら気になり、そしてちょっと悲しかった。現役の司会者の中にも、早口なのに喋りにくそうにしている方もいますよね。キチンとした入れ歯で、きちんと使用することが出来れば、普通にお話出来るはずなのですが。
「歯無しでは噺にならない」ということでしょうか。
やはり歯はとても大切だということですね。

歯学博士  沼澤 孝典