Blog

反実仮想(はんじつかそう)

新型コロナの件では、東京オリンピックが延期になったことなども含め、いろん なところに大きな影響が出ていますね。マスクや消毒薬不足に関してはある程度予測はついたものの、トイレットペーパーやガーゼまで品不足になるとは、私たちも驚きの連続でありました。
当院では、開業20周年の際に記念品として患者さんにお配りしたマスクの在庫があったため、2月~3月はマスクを必要とする方たちに対してお配りすることが出来たのですが、4月に入ってからは自分たちの診療分も底が見えてきたのでちょっと焦りました。感染症予防対策は充分にしているつもりでありましたが、予防するための物品が長期にわたって入手困難になるとは想像を超えるものでありました。一言で「危機管理」とは言うけれども、実行するのはホントに難しいと感じています。
その昔、薩摩藩には『反実仮想』という教えがあり、それのもと、藩士たちは日々の訓練に取り組んでいたそうであります。『反実仮想』とは「現実には起きていないけれども、将来起きそうなことを想像することが大切である」ということで、常日頃より“起きたら不都合なこと”を議論することが、最後に勝ち残るために必要であると説いたとのこと。「もし~ならば」「もし~こうなったら」ということを日々考えることはとても大切であり、現代に置き換えるのであれば、これこそが『リスク対応の極意』ではないでしょうか。
*もしインフルエンザなどの感染症が周囲で多数発生した場合・・・
*もし家族が転倒して意識消失した場合・・・
*もし急に電気や水道の供給がストップした場合・・・ etc.
このように、私たちの身の周りで起きるかもしれないことを、常日頃から「場合分け」して考えておくことが、私たちが出来る『危機管理』だと思います。

歯学博士  沼澤 孝典