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どうしても苦手なもの

これを言うと「うそでしょ!?」「え~っ!日本人じゃないみたい」ってビックリされるので、内緒にしていることが多かったのですが、私はお茶が飲めません。

何故なのかはわからないのですが、物心ついたころからダメだったようです。沼澤家の食卓にお茶がなかったわけではありませんが、家族の中で私だけが飲めなかったようです。そんな私に対して寛大な母はよく紅茶を淹れてくれました。そう、不思議なことに紅茶は飲めたのですね。「同じ葉っぱだよ」とよく言われるのですが私にとっては全く違う飲み物なんです。「英国育ちかよ」とツッコミを入れる人はいませんでしたが、私はれっきとした新庄生まれの新庄育ちの田舎者です。そんな私にとって紅茶は香り豊かな物であり、お茶は臭いがする物なのです。今更こんなことをカミングアウトして人格を疑われそうではありますが、今回のテーマを考えていた時にふとお茶を思いついてしまい、頭の中がお茶だらけになってしまったので吐き出すことにした、という事の発端なのでした。

そういえば20年ほど前、茶道裏千家の若宗匠(現在の御家元)に3度ほど続けてご挨拶に伺う機会がありました。京都の“今日庵”という御茶室にお招き頂いたのですが、喜んでいたのは私の同行者だけ。事前の情報によると、始めに御抹茶が供され、それを飲み終えた後に若宗匠が登場するという段取りとのこと。窮地に陥った私は、隣の後輩が抹茶を飲み終えたタイミングで自分の茶碗とサッと交換し事なきを得たのでした。その後、若宗匠が御出座しになり和やかにご挨拶が進んだところで、なんと今度は御煎茶が供され、「作法など関係ないからお気楽に」と若宗匠自らのお気遣いを頂いたのですが、私は最大のピンチを迎え茶碗の蓋を開けるのが精一杯でした。汗汗汗。

最近は大人になりましたので、デパ地下のお茶売り場の前で鼻をつまむのはやめるようにしています。

歯学博士 沼澤 孝典